まんが『警察犬物語』のご紹介

今回は、私のお気に入りのまんが『警察犬物語』をご紹介します。

ジャーマン・シェパード大好き、ジャーマン・シェパードに関するものは何でも集めてしまう私は、シェパードが登場する本をいろいろと読みました。酷い時期は本の表紙にシェパードの絵があるだけで購入し、実際読んでみるとほとんど犬は関係しないという表紙詐欺にひっかかることも……(一方的な被害妄想)。

そうした中で出会い、今でも繰り返し読んでるのが、まんが『警察犬物語』です。

このまんが、犬たちの表情やしぐさがとてもかわいいです。

 

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ただこちら、1970年代に発行された漫画で、冊子の本は中古のものしか手に入れることができませんが、電子書籍としても販売されているので、私のような潔癖症には非常に助かります。

『警察犬物語』は、アマゾンの電子書籍「Kindle」でも販売されていますが、まんがの電子書籍の場合、漫画全巻ドットコムのアプリがとても使いやすく、読みやすいです。

漫画全巻ドットコム 」は、名前を「全巻」とはしていますが、一冊ずつでも購入できます。

アマゾンの「Kindle」アプリは、購入した書籍の表紙がずらりと表示されているだけなのですが、「全巻漫画ドットコム 」のアプリは、本棚ごとに整理することができるため、作者やシリーズごとに棚を分けることができ、読みたい本がとても探しやすいです。また、端末から書籍を削除する場合、「表紙を残して削除」をすることができるので、自分が購入した本の把握にも便利です。(「表紙を残して削除」したまんがは、表紙が網掛けされた状態で表示されるので、とてもわかりやすいです。)

私は、電子書籍を購入する場合、普通の本はアマゾン「Kindle」、まんがは「漫画全巻ドットコム 」と使い分けています。

ただ、この『警察犬物語』は、あまりに好きすぎて、両方で購入しています。だって、どちらかで読めなくなった場合、怖いので、、、

 

まんが『警察犬物語』のご紹介

まんが『警察犬物語』は、1978年から79年、週刊少年ジャンプに連載された、三木孝祐さん原作、石川サブロウさん漫画の作品です。

警察の物語ではありますが、事件捜査というより、警察犬訓練士と警察犬との絆、愛情などがメインテーマとなっています。

 

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1970年代当時、まだあまり知られていなかった警察犬訓練士という仕事、そして自らを犠牲にして人のために働く警察犬の活躍を描きながら、さらに事件捜査における警察犬の重要性をも描いています。

少々昭和レトロな作風ですが、犬たち表情や仕草がとても豊かで愛らしく、とても可愛いです。

また、このまんが自体はフィクションですが、主人公の雨野しげお巡査、警察犬レックス、アルフには、実在したモデルが存在しており(後述します)、彼らが実際に担当した事件などもモデルとしながら、訓練士と犬たちの絆、飼主と飼犬との関係、人と動物との関わり方など、現代にも通じる課題や価値観等をを見事に描いています。

動物好きな人、また、犬を飼っている人は、自らの経験に通じるところも多く、感情移入しながら物語を読み進めることができます。

 

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警察官採用2年目で21歳の雨野しげお巡査は、ある日、刑事部鑑識課警察犬訓練所勤務を命じられます。

本部づとめといえば警視庁のエリートコース、張り切って勤務先に赴くと、そこは霞ヶ関にある警視庁ではなく、板橋区にあるボロボロの建物でした。

そこで、雨野が担当することとなったのが、レックス(レックス・フォン・ブローニュー号)です。

 

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しかし、レックスはフィラリア症に感染しており、また、体調も著しく悪化しており、さらに新担当官である雨野巡査を拒みます。

雨野巡査はそんなレックスに寄り添い、何度噛まれながらも献身的に看護します。そして、そんな雨野の姿に、やがてレックスも心を開いていきます。

そして、新人訓練士雨野巡査と、ダメ犬のレッテルを貼られていたレックスは、様々な人たちとの関わり、また事件捜査を通して、共に成長していきます。

レックスと雨野が名コンビとして成長していく中、雨野に新しい担当犬が任されることとなります。警察犬の数は圧倒的に不足しており、一人の担当官が複数の警察犬を担当しなければ、日々発生する事件に対応できません。また、犬にも休養が必要なのです。

雨野巡査が新しく担当することとなったのが、後に日本一の警察犬となるアルフ号(アルフ・フォン・ムト・ハイム号)です。

小柄で体力の無いアルフは、当初レックス同様ダメ犬のレッテルを貼られますが、雨野巡査は、アルフのニオイに対する並外れた執着と、その集中力、持続力に、警察犬としての素質を見抜き、それを伸ばしていく訓練を重ねていきます。

雨野巡査は、一般的な基準で「ダメ犬」と評価されている犬でも、その犬の本質を見抜き、好きなこと、得意とするものを伸ばしていくことで犬たちを成長させることができる天才です。人間も、学生時代にこんな先生に出会うことができる人は幸せですね。

 

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また、この作品は、事件を起こす犯人たちの境遇や心境も描いているため、一つ一つの物語がとても深いものとなっています。

さらに、東武動物公園の初代園長で、動物園にふれあいコーナーを設けるなどし、動物のおもしろさや素晴らしさを世に伝え続けた、カバ園長こと西山登志雄氏も登場され、「野生動物をペットとし、無責任な飼育を行う人間のエゴ」という現代にも通じる大きな課題について取り組まれています。

ちなみに西山先生は、日本に帰化したヌートリアの最初の発見者でもあります。

 

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まんが『警察犬物語』は、ストーリーを楽しみながら、飼育書や医学書を読むだけではわからない、実際に愛犬と触れあうことでしかわからない、愛犬の体調や本当の気持ちという、当たり前だけど忘れてしまいがちなことを気づかせてくれます。

自信を持っておすすめすることができる、とても素晴らしい作品です。

犬の血統書名

レックスとアルフの血統書名は、レックス・フォン・ブローニュー号アルフ・フォン・ムト・ハイム号と、とても長いです。

犬の血統書名は、犬名と犬舎名から成り立っています。犬名はファーストネームであり、一緒に生まれた兄弟姉妹(同胎犬)は頭文字(アルファベット)をそろえて名付けられています。そして犬舎号とは犬の苗字に当たるもので、生まれたお家(繁殖者)を表しています。つまり、血統書の名前を見ると、その子がどの犬舎出身なのか、ということがわかるのです。

つまり、レックス・フォン・ブローニュー号は、ブローニュー家のレックス、アルフ・フォン・ムト・ハイム号は、ムト・ハイム家のアルフ、となります。ちなみに、「号」は動物の名前につける接尾辞で、警察犬だけでなく馬や牛などにも使われます。家庭犬でも、正式な書類には「○○号」と記載されます。

また、ジャーマン・シェパードはドイツ原産の犬なので、血統書はドイツ語で記載されています。「von(フォン)」は、英語の「of」又は「from」にあたり、オーストリアを含むドイツ語圏では王侯貴族の姓の初めに冠する称号として使われます。

以前このブログの記事「皇妃エリザベートの美貌~Sissiの憂鬱~」でご紹介した皇妃エリザベートも、「Elisabeth Amalie Eugenie von Wittelsbach」となり、「von」という前置詞がついているのがわかります。

犬のフィラリア症について

この作品の中で、レックスをはじめ多くの犬を苦しめているのが、フィラリア症という感染症です。

フィラリア症というのは、蚊が媒介するフィラリア糸状虫、心臓糸状虫)という寄生虫の成虫が、肺動脈や心臓に寄生して起こる病気で、人間にも希に感染します

蚊に刺され、ミクロフィラリアと呼ばれる小さな幼虫が犬の体内に入ると、およそ3カ月間かけて発育を続けながら体内を移動し、最終的には心臓や肺動脈にたどり着き、そこで3カ月間ほどかけて成虫になり、幼虫を産みます。

一度フィラリアに感染すると、犬の体内でフィラリアがどんどんと増えていきます。フィラリアが増殖すると、血液循環が悪くなり、呼吸器や循環器や泌尿器に障害をもたらします。治療が遅れてしまうと、肺やお腹に水が溜まったり、呼吸困難になったりし、やがて命を落とす、とても恐ろしい感染症です。

1987年に日本で予防薬が使用され、やがてそれが一般の家庭犬にも処方されるようになり、現在ではこの予防薬を獣医師の指示どおりきちんと与えていれば予防することができる感染症なのですが、この予防薬が普及する以前は、フィラリア症で命を落とす犬はとても多かったのです。

 

日本の犬たちの飛躍的に寿命が延びたのは、ノーベル医学生理学賞を受賞された大村智さんのおかげ!

大村智北里大学特別栄誉教授は、1979年に寄生虫に効果のある「エバーメクチン」を発見した功績が認められ、2015年にノーベル医学生理学賞を受賞されました。

寄生虫に効果のある「エバーメクチン」はアメリカの製薬会社大手のメルク社と共同研究し、構造を一部変更した「イベルメクチン」として世界で最も使われる動物薬の一つになり、現在さまざまな家畜の感染症や犬のフィラリアの予防・治療に使用されており、絶大な効果を示しています。

日本で「イベルメクチン」が発売され、獣医師が使うようになったのが1987年です。当初は馬や牛、豚などの家畜に使用されていましたが、1993年4月から犬用のフィラリア予防・治療薬「カルドメックチュアブル」が発売され、それ以降、家庭犬にも処方されるようになりました。

この予防薬の開発・普及で、日本の犬の寿命は飛躍的に伸びたとも言われています。

 

実在した天野巡査と、レックス号、アルフ号の物語

まんが「警察犬物語」はフィクションですが、登場する雨野しげお巡査、レックス号、アルフ号には、実在したモデルが存在します。

 

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雨野しげお巡査のモデル天野重夫氏は、もともと民間で飼育する犬を民間訓練士に嘱託する「嘱託警察犬制度」で運用されていた警察犬について、都道府県警察が直接犬を飼育、訓練する「直轄警察犬制度」を導入した翌年1957年2月から1993年3月までの約35年間、警視庁で警察犬を担当された、正に日本の警察犬の歴史と発展に深く貢献した人物の一人です。

まんが同様、レックス号もアルフ号も、実際に天野重夫氏の担当警察犬でした。

 

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レックス号については、優秀であったこと以外にあまりネット上には記録がありませんが(警視庁には記録があると思います)、アルフ号は、警視総監賞2回、警察庁刑事局長賞2回、警視庁刑事部長賞9回など合計109回も表彰される等、日本警察史に名を残す名警察犬として特に有名で、警視庁ホームページ「警視庁警察犬物語~それいけハナの捜査官~」で紹介されています。

警視庁ホームページ「警視庁警察犬物語~それいけハナの捜査官~」
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/shokai/katsudo/dog/alf.html

 

実際に活躍した天野重夫氏をアルフ号の物語については、次回記事「日本一の警察犬アルフ号と天野担当官との物語」でご紹介したいと思います。

 

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