はじめに申し上げておきますが、この記事は、ご自身で愛鳥の足環を外すことを推奨しているものではありません。
鳥の種類や飼養目的によっては、足環はとても重要な意味をもちますし、また、既に足にトラブルを抱えている子の場合、獣医師に処置していただく必要があります。
足環を外すことのデメリット等よく考え、不安がある場合、動物病院で獣医師に相談する等してください。
9月某日、二羽のカナリアをお迎えしました。
多分、男の子と女の子です。
多分、としたのは、カナリアは雌雄の区別がわかりにくく、専門家でも間違えることがあるからです。
写真:pixabay
我が家は十年近く白カナリアと暮らしていたので、レモンカナリアは久しぶりです。
カナリアはとてもかわいい顔をしていますが、カナリアに限らず鳥を見ていると、つくづく「恐竜だな」と感じます。
特に、顔つき、鼻から嘴のライン、足などは、恐竜そのものです。
それもそのはず、現生鳥類は恐竜の子孫だとする考え方が現在では一般的です。
今から6600万年前の白亜紀末、直径約15キロの小惑星が地球に衝突しました。
爆発の威力は原子爆弾100万個分に相当し、ほとんどの恐竜を含む地球上の生物の4分の3が絶滅しましたが、一部の系統の恐竜は生き残り、小惑星衝突後の過酷な世界を生き抜き、繁栄して、今日の鳥類になったと考えられています。
つまり、恐竜は「絶滅」したのではなく、現在も鳥類として生き続けているのです。
ね、ちいさな恐竜ちゃん!
写真:pixabay
余談ですが、2019年7月、二回にわたり放送されたNHKスペシャル「超恐竜世界」は、超高精細な4KCGを基にした豊富なビジュアルで、恐竜や古生物の生活を再現した、とても見応えのあるものでした。
「超恐竜世界」でも、恐竜のグラフィックは骨格資料や現生鳥類を参考に制作されており、やはり恐竜と鳥類とは、とても近しい存在のようです。
恐竜好きには、必見の内容です。
DVDの他、日系ナショナルジオグラフィック社出版の本でも楽しむことができます。本はかなり専門的な内容で、小さな子どもが一人で読むのは難しいですが、大人が一緒に読んであげると、親子でより一層知識を深めることができます。
一冊まるごとフルカラーで、NHKスペシャルの画像も多く使用されています。
話がそれてしまいました。
カナリアを新たにお迎えするにあたり、私はずっと気になっていたことがあります。
それは、カナリアの足輪です。
一般的に、カナリアには足環が装着されています。
写真:pixabay
これは、個体識別のために孵化後10日前後で装着されるもので、その鳥の生年(西暦下2桁)、クラブナンバー、ブリーダーナンバー、通し番号等が刻印されています。
写真:pixabay
カナリアを購入する際は、金属の継ぎ目がない足環をしていることを確認する必要があるとされています。そうでないものは、雑種であったり、他の種類のカナリア(例えばローラカナリアとレモンカナリア、等)の混血である可能性があるのだそうです。
でも、これは、品評会に出場させたり、ブリーディングして販売したりするときに必要なもので、私のように愛玩目的で飼養する場合は、そう重要ではありませせん。
愛玩目的で動物を飼養するとき、一番大切なのは、その子が安心して、ストレスなく暮らすことができる環境を整えることです。
そしてカナリアは、足環によるトラブルがとても多いのです。
実際、今まで我が家で暮らした子たちも、足環がトラブルの元となり、途中で外した子もいます。(もちろん、生涯大丈夫だった子もいます。)
今回若い二羽を迎えるにあたり、足輪のトラブルを抱える前に外してしまいたい、という気持ちがありました。
また、カナリアの小さな身体、細い脚に装着された金属製の足環は、やはりそれなりにストレスだと思うのです。
そこで、足環がついていることの意味について、いろいろと調べてみました。
鳥の足環がもつ役割は、だいたい以下のようなものです。
・ブリーディングのための個体識別
・万が一逃走したとき、個体証明になる
・品評会に出場するときの所属クラブの証明
・密輸でないことの証明
足輪を外すデメリットは、これらの証明を失う、ということですが、愛玩目的で飼養する私には、どれもあまり重要ではありません。
密輸については、特にインコ類や猛禽類などは、輸入規制が厳しくなる傾向にあります。今後飼養している鳥に輸入禁止措置がとられた場合、その子が国内繁殖の子であることを証明する必要があり、その場合、足環による個体識別は重要となります。
しかし、カナリアについては、このことはあまり気にする必要はなさそうです。
あと、「万が一逃走」とありますが、災害等でやむを得ない場合もあるのでしょうが、そもそも逃走させないことが重要ですし、また、品評会に出す予定もありません。
ということで、我が家のカナリアは、足環を外すことにしました。
念のため、足環を装着した状態で写真をとっておき、外した足環も保管することとします。
本当は動物病院で足環を外してもらうのが一番安心なのですが、今回は自分で外すことにしました。
ただ、小鳥の足はとても繊細です。
自分で足環を外すことが不安な場合、必ず動物病院で外してもらうようにしてください。
また、既に足にトラブルを抱えている子の場合も、必ず動物病院で足環を外してもらうようにしてください。
足環専用カッターのご紹介
ネットでいろいろと検索したところ、「楽天市場」の「eバード(株式会社ベルバード)」というお店で、「足環専用カッター2.50mm〜8.00mmサイズ切断適用」というものを見つけました。
この商品を使用した方のレビューやブログなどを調べてみたところ、動物病院でも使用されている、きちんとした商品のようです。
ちなみに、「eバード(株式会社ベルバード)」は、鳥獣・孵卵器の輸入販売を40年近く行っている、専門的なお店です。
購入した足環専用カッターには、2つのサイズがあり、私が購入したのは「2.5mm~8.00mmサイズ用」のものです。
中型インコなど、もう少し大きな足環をした子なら、「8.50mm~18.00mmサイズ用」のものを購入することになります。
1 「2.5mm~8.00mmサイズ用」
足環専用カッター2.50mm〜8.00mmサイズ切断適用
こちらは、足環サイズが2.5mm~8.00mm用です。
足環専用カッター2.50mm〜8.00mmサイズ切断適用
目安としては、ジュウシマツ、カナリア、ブンチョウ、セキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、オカメインコ、ウズラ、ハト等が、このサイズの足環を装着しています。
ただし、実際に購入する際は、愛鳥の足環サイズをよく確認してから購入するようにしてください。
足環専用カッター2.50mm〜8.00mmサイズ切断適用
2 「8.50mm~18.00mmサイズ用」
足環専用カッター 8.50mm〜18.00mmサイズ切断適用
こちらは、足環サイズが8.5mm~18.00mm用です。
足環専用カッター 8.50mm〜18.00mmサイズ切断適用
目安としては、アケボノインコ、ニョオウインコ、モモイロインコ、オオホンセイインコ、コバタン(コハクインコ)、コキサカオウム、ヨウム、メガネフクロウ、シロフクロウ等が、このサイズの足環が装着しています。
ただし、実際に購入する際は、愛鳥の足環サイズをよく確認してから購入するようにしてください。
足環専用カッター 8.50mm〜18.00mmサイズ切断適用
実際に足環を外します
実際に足環を外すとき、写真はとりませんでした。
作業を早く終わらせる必要があり、写真をとると、かわいそうかな、と思ったからです。
ちなみに、二羽は現在同居していますが、喧嘩をはじめたらすぐに別居させる予定です。
カナリアは本来単独で生活するので、縄張り意識がとても強く、一つのケージで複数飼育をする場合、適度な広さと、それぞれの隠れ家となるスペースが必要です。
我が家のカナリアも、はじめは同居させるのですが、結局喧嘩をはじめて別居させるケースが多いです。
ただ、以前父が連れて帰ってきた二羽のカナリアは特別でした。
ペアとしてお迎えしたのですが、実は二羽とも男の子で、しかしとても仲が良く、この二羽は生涯同じケージで過ごしました。
カナリアにも、それぞれ性格がありますね。
すみません。
つい思い出に浸ってしまいました。
話を足環に戻します。
足輪を外す前に、念のため、足環を装着した状態で、足輪の記載内容がわかる写真を撮影しておきます。
足環は意味があるものなので、愛鳥がそれを装着していたという証拠を残す必要があるからです。
今後、何が原因でそれが必要になるかわかりません。
1 カナリアを保定する
足環を外すため、カナリアをしっかりと保定します。
保定というのは、動物が動いたり暴れたりしないように動きを固定する押さえ方で、それぞれの動物に、その目的にあった保定方法があります。
しっかりと保定しておかないと、特に今回のように刃物を使用する場合、動物が暴れてとても危険です。
小鳥の場合、基本的な保定方法は、鳥の頭部を親指と中指でしっかりはさみ、人差し指で軽く頭を押さえます。
保定方法については、「獣医師広報版」というホームページに写真付きで説明してありますので、参考にしてください。
・獣医師広報版ホームページ-トリの保定の仕方、お薬の飲ませ方
「獣医師広報板」は、日本のペット・動物サイトとしては最大規模の情報量を誇る、ボランティアによる総合サイトです。
飼育情報や疾病、イベントや動物種別リンク集など動物愛好家のコミュニケーションの場になっています。
2 足環専用カッターで足環を切断する
①カッターの刃先の凹部が足環の上側と下側にはまっていることを確認します。
このとき、カッターと鳥の足との間にしっかりとスペースがあることを確認してください。
カッターが鳥の足に接触したまま作業をすると、鳥の足を傷つけてしまいます。
鳥、特に小鳥の足は、とても繊細です。
② 慎重かつゆっくりと力を入れて、足環を垂直にカットします。
作業する側が怖がり、ここでグラグラとさせてしまうと、とても危険です。一度で切断できるよう、素早く作業をしてください。
そこまで力を入れなくても、金属製の足環をさぱっと切断できます。
マニュアルには「カットした箇所の反対側(180度)も、慎重かつゆっくりと垂直にカットし、2つにカットされた足環を取り除く」とありましたが、カナリアの足環はとても小さいので、片面を切断すると、あとは爪を使って足環を広げ、簡単に外すことができました。
プラスチック製の足環は、女の子の方が、女の子の印として装着していたものです。
切断した足環は、念のため大切に保管しておきます。
女の子は、作業の後で少し興奮しています。
すっかり落ち着いて、こちらに背を向けてご飯を食べているのが、推定男の子です。
きっと足下が軽くなったことでしょう。
鳥の個体識別も、足環以外の方法で行えたらいいのですが、そうなるとマイクロチップくらいしか思い浮かびませんね。
そうした場合、小鳥の負担にならないサイズのマイクロチップとは、どのようなものなのでしょうか?
いずれにしても、鳥の足環は人間にとってとても重要な役割を持ちますが、鳥にとってはかなりの負担になっていると思います。
何か、他にいい方法があるといいんですけどね。
繰り返しますが、この記事は、ご自身で愛鳥の足環を外すことを推奨しているものではありません。
鳥の種類や飼養目的によっては、足環はとても重要な意味をもちますし、また、既に足にトラブルを抱えている子の場合、獣医師に処置していただく必要があります。
足環を外すことのデメリット等よく考え、不安がある場合、動物病院で獣医師に相談する等してください。
飼い主として、愛鳥のストレスをできるだけ減らし、安心して幸せな生活を送ることができる環境を整えていきたいものですね。