前回の記事で、ニホンオオカミ(送り狼)について触れました。
鳥辺野に想う~曖昧になる境界線~
今回は、ニホンオオカミに関する、とてもかわいい絵本をご紹介します。
ぼく、ニホンオオカミになる!! /奈良県東吉野村/マスダケイコ(単行本)
「ぼく、ニホンオオカミになる!!」は、2015年に開催された「奈良県東吉野村ニホンオオカミ手作り絵本コンクール」で、応募総数112点の中から最優秀賞作品に選ばれ、2016年3月に出版された絵本です。
2024年の今は、中古でしか販売されていないようですね。とても残念です。
私はこの記事を書くにあたり、この絵本を読みなおし、涙が止まりませんでした。
人によっては、ただただかわいく、涙する内容ではないのですが、私の泣きのツボ、少しおかしいんですよね。動物関係になると、一気にその沸点が下がってしまうのです。
恐竜の絶滅シーン、映画「ハチ公物語」の最後、ハチと主人が桜並木で再開するシーン、漫画「流れ星銀」、どれも涙腺が崩壊し、翌朝顔が腫れてしまうので、どれも名作で大好きなのですが、とても悲しくなって泣いてしまうのが怖くて、あまり頻繁には読んだり見たりできないでいます。思い出しただけでも涙が出るので、私、何か変なんでしょうね。
奈良県東吉野村は、日本で最後にニホンオオカミが捕獲されたとされる地域です。このとき捕獲されたニホンオオカミの頭骨と毛皮は、現在ロンドン自然史博物館に保存されています。
それについては、こちらの記事に記載していますので、興味のある方はご覧ください。
「神様になった日本のオオカミ」(オオカミの守る星)
奈良県東吉野村に、おじいさん、おばあさんと一緒に暮らすヤマトは、ニホンオオカミにあこがれています。
「ぼく、大きくなったらニホンオオカミになんねん」
毎日遠吠えの練習をするヤマト。わぉーん、わぉーん、、、ヤマトの遠吠えは、東吉野村の山々に遠く木霊していきます。
おじいさんからニホンオオカミのお話を聞くたび、ヤマトはニホンオオカミへの憧れを強めていきます。
「かっこいいなあ、みてみたいなあ、ニホンオオカミ」
ある日、帰りが遅くなったおじいさんとおばあさんを心配し、ヤマトは以前おじいさんに聞いた「送り狼」のお話を思い出します。
自分がニホンオオカミのようにこっそりと二人を守ると決心し山に入っていくヤマトですが、道に迷ってしまいます。
そこでヤマトが体験することとは、、、
とてもかわいいイラストで、また、言葉もわかりやすく、大人も子どもも楽しめる絵本です。
また、奈良県東吉野村が実施したコンクールで最優秀作品に選ばれているとおり、絵本として、わかりやすく読みやすい言葉でありながら、しっかりとニホンオオカミの習性、ニホンオオカミが辿った悲劇、そして、人々のニホンオオカミへの信仰がわかる、とても素晴らしい作品です。
人々の暮らしと自然、そして自然動物について考えるよい機会ともなるのではないでしょうか?
動物好きであれば、きっととても気に入っていただける作品だと思います。
残念ながら、現在は中古しか手に入らないようですが、是非多くの方に読んでいただきたい作品です。