ポーランド陶器「ボレスワヴィエツ」は、ポーランド南西部の町ボレスワヴィエツ(Bolesławiec)とその周辺で作られる陶器で、町の名前がそのまま陶器の名前となっています。英語圏や日本では「ポーリッシュポタリー(Polish pottery)」と呼ばれています。また、以前この地がドイツの占領下にあったことから、ボレスワヴィエツの町のドイツ語名「ブンツラウ(Bunzlau)」の名を取り、「ブンツラウアー陶器」とも呼ばれます。
全てひとつひとつ職人の手によるハンドメイドの陶器で、完全な円形や正方形ではなく、また、絵柄や色の濃淡もそれぞれ少しずつ異なり、一つとして同じものはない、とても味わい深い陶器です。普段使いとして、また贈答用として、ヨーロッパ、アメリカではとても人気があります。
厚みと丸みがあるデザインは、手や口に触れる感触がとてもよく、またお料理をとても魅力的に演出してくれます。植物や小物を飾ってもとてもかわいいです。長時間高温で焼き上げるため、割れにくく耐久性があるのも特徴です。
ミニチュアティーセット[V068-A063]【ポーリッシュポタリー[ポーランド食器・陶器]】 |
小さなスプーンにも、表、裏の両方に丁寧に模様付けがされています。
藍色を基調とした色合いはどこか日本陶器に似ており、日本の食卓にもよく馴染みます。
グレイビーボート[Z1530-1531-167A]【ポーリッシュポタリー[ポーランド食器・陶器]】 |
ボレスワヴィエツ陶器の中で特に人気が高いのが、丸い形が愛らしい、ポーリッシュマグではないでしょうか。ポーリッシュマグには、大(高さ約9cm、容量約300cc)、小(高さ約8cm、容量約220cc)、ミニ(高さ約5.3cm、容量約100cc)の3種類の大きさがあります。購入の際の参考とてください。
このボレスワヴィエツ陶器、非常に人気が高いため、偽物も大変多く出回っています。購入する際は、必ず正規輸入代理店等、信頼のできるお店から購入してください。
ちなみに、このページの商品画像をクリックすると、商品の販売ページにリンクします。リンク先のお店は、ほとんどが、株式会社ケルセンか、クラフトワークス株式会社「ツェラミカ」となっており(ほとんどケルセンのページです)、二つとも信頼できる正規輸入代理店ですので、安心してご利用ください。
ちなみに私は、ボレスワヴィエツ陶器を購入する際は株式会社ケルセンを利用しています。品揃えが豊富で対応も丁寧、とても信頼できるお店です。
ボレスワヴィエツ陶器は全てがハンドメイドであり、各窯元は在庫を持っていません。全て流通業者の発注による受注生産品となっており、売り切れの場合、次の入荷まで何か月も待たなければならない場合が多いです。
また、ボレスワヴィエツ陶器は厚生労働省の管理する食品衛生法の検査に合格していますので、食器の内側に模様があっても、安心してお使いいただけます。
ボレスワヴィエツ陶器を紹介するホームページを見ると、「オーブン、食洗器OK」という表現が多いですが、陶器にはそれぞれ個性があり、特製があります。ボレスワヴィエツ陶器は確かに強く使い勝手の良い陶器ですが、その形、用途等により個性がありますので、購入される際、お店に確認されることをお勧めします。
ポーランド陶器の歴史
ボレスワヴィエツ(Bolesławiec)はポーランドの小さな街で、ドイツ、チェコとの国境付近、ドルヌィ・シロンスク地方(シレジア地方)にあります。
Administrative map of Poland. Lambert azimuthal equal-area projection
この地域に流れるクフィサ川とブブル川の粘土が陶器に向いており、13世紀ごろから陶器製造が始まったとされています。
初期のボレスワヴィエツ陶器は茶色一色塗りで、主に農家で使う壺や瓶などが作られていましたが、17世紀頃には、藍色、赤茶色、深緑色の彩色が施されるようになり、これはボレスワヴィエツ陶器の伝統色して、現在でも伝統的な柄には必ず用いられています。
17世紀から18世紀のボレスワヴィエツ陶器には、聖書や紋章、動物や植物をモチーフとした装飾がされていました。
ボレスワヴィエツ陶器博物館(Bolesławiec museum) |
19世紀の初め頃、ドルヌィ・シロンスク地方(シレジア地方)は、プロイセン王国の占領下にあり、ドイツ化政策がとられ、ボレスワヴィエツの町はドイツ語名の「ブンツラウ(Bunzlau)」という名で呼ばれていました。
やがて19世紀末、フランスのアールヌーボにあたるユーゲント・シュティールという文化がドイツでも花開きます。芸術と実用性の融合を目指すユーゲント・シュティールの影響もあり、ブンツラウの陶器産業は食器作りに力を入れるようになります。
同じ頃、白い粘土をベースにする技術が開発され、色鮮やかな模様を陶器に施すことが可能となります。そして、ボレスワヴィエツ陶器の特徴の一つでもある、バルト海の海綿を削って作ったスタンプに、ボレスワヴィエツ陶器の伝統色である、藍色、赤茶色、深緑色のインクを浸し、陶器の表面に押して柄を描くという技法が確立されます。
ボレスワヴィエツ陶器のスタンプによる模様付けの様子 |
この頃考案された、孔雀の羽根の模様のような「ピーコックアイ」、緑色の部分の柄が蚊の形に似ている「モスキート」、紺色の中に白い花を描いた「デイジー」等は現在でも伝統的な絵柄として人気が高く、多くの窯元で作られています。
ボレスワヴィエツ陶器博物館(Bolesławiec museum)にある、 |
1898年、政府は陶器制作の技術者養成を目的に、ブンツラウに「Keramische Fachschule」(陶製技術訓練学校)を設立します。ここで、職人たちは外国の陶器についての知識を学び、また、絵の具や釉薬の研究を行い、この地域の陶器制作技術は飛躍的な発展を遂げました。
しかし第二次世界大戦により、この地は壊滅的な被害を受けます。
ドイツがこの地から撤退し、ロシア領が拡大したことで、その中間に位置するポーランドの領土が西側に約250kmずれます。このことにより、ドルヌィ・シロンスク地方(シレジア地方)はポーランド領となり、地名もポーランド名の「ボレスワヴィエツ(Bolesławiec)」となりました。
当初、社会主義政権下のポーランドでは、陶器産業は国営工場のみとされていましたが、1989年に民営化したことで新しい窯元が次々と創業しました。そして、それぞれの窯元はボレスワヴィエツ陶器の伝統的なデザインを引き継ぎながらも、新しいデザインを考案し、現在では様々な種類のボレスワヴィエツ陶器が販売され、世界中で愛される人気の陶器となっています。
ボレスワヴィエツ陶器の模様
ボレスワヴィエツ陶器の模様には、ピーコックアイ、モスキート等のように、19世紀頃から引き継がれている伝統的なもの、それをさらにアレンジしたもの、また、それぞれの窯元による個性的なデザインなど、その種類はとても多いです。また、同じ伝統柄でも窯元により個性があり、その中で気に入ったものを探すのもとても楽しいです。
各窯元では、柄のランクを何段階かにクラス分けしており、それにより価格も異なります。基本的に伝統柄はシンプルなものが多いので価格は低く、アート柄になると職人が筆で細かい絵を描くため、価格は高くなります。
伝統柄 tradycyjne
ボレスワヴィエツ陶器に昔からある伝統的な柄で、シンプルなスタンプによる絵付けが中心となっています。
ピーコックアイ、モスキートなど、各窯元が共通して作っている伝統的なものや、シンプルな構図、色数の少ないものなどで、多くの職人が比較的短時間で仕上げることができること等から、価格も抑えられています。
ピーコックアイ
ボレスワヴィエツ陶器を代表する模様の一つで、孔雀の羽の目玉模様に似ていることから「ピーコックアイ」と呼ばれています。
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モスキート
ピーコックアイから派生した柄の一つで、赤いドットの間にある緑の模様が「蚊」のように見えることから「モスキート」と呼ばれています。ボレスワヴィエツ陶器を代表する模様の一つです。
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デイジー
古くからボレスワヴィエツ陶器にあるデザインのひとつです。デイジーの和名は雛菊、また、花が咲いている期間が長いことから、延命菊、長命菊とも呼ばれています。花言葉は、美人、平和、幸福。思いを込めたプレゼントにいいかもしれません。
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ホワイトドット、ブルードット
ピーコックアイと似ていますが、こちらはドットのデザインです。シンプルな分、使用用途も広がるのではないでしょうか。
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花
ボレスワヴィエツ陶器の中では最も古くからあるデザインのひとつで、クリーム色の素地に、紺と赤で花模様がスタンプされています。
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ハイスタンダード柄 podwyższony standart
伝統柄やシンプルな柄と比較すると、多少手が込んだものや色数も増えている場合が多い柄です。伝統柄から派生したデザインや、伝統柄とユニーク柄の中間的な柄と言えます。
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ユニーク柄 unikat
ポーランド語でUNIKAT、英訳でユニーク「独特・独自」という言葉があてはめられ、各窯元らしいオリジナルの柄が特徴です。
柄はスタンプのみのものでも緻密で、色数も多きなります。また、絵筆が使われる比率も高く、伝統柄に比べると絵付けの時間は長くなり、難易度も高くなります。そのため、価格は伝統柄の1.5倍から2倍程度になります。
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アート柄 artystyczne
ユニーク柄よりもさらに手が込んでおり、緻密度の高い色使い、絵筆の多用など、絵画的な要素の高いデザインです。いわゆるデザイナーものと呼ばれるものが数多くあり、バックスタンプの脇にシグネチャーが入っています。
当然、絵付けに費やされる時間も長くなり、絵付け出来る職人が限られていることから、価格は伝統柄の3倍ほどかそれ以上です。
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ボレスワヴィエツ陶器の代表的な窯元
Zakłady Ceramiczne “BOLESŁAWIEC”(ザクワディ・ツェラミチネ・ボレスワヴィエツ:ボレスワヴィエツ陶器製造会社)
地域で最も古く伝統ある窯元で、同地の二大製造元の一つです。社名に「ボレスワヴィエツ」という地名を入れることが許されているのはこの工房だけです。1900年にHugo Reinhold(フゴ・ラインホルド)社によって設立された陶工所を1947年に受け継ぎ、現在に至ります。
高台内(器の裏面)には、製品のランクにより次の2種類の内どちらかのマークがスタンプされています。
クラシック柄(伝統柄)とハイ・スタンダード柄 | ユニーク柄とアート柄 |
ザクワディ社製品の深い藍色の美しさには定評があり、ピーコックやモスキートなどの伝統柄、また、そこから派生したハイスタンダード柄のデザインは、この窯元の最も魅力的な製品の一つです。高い技術と品質、機能と実用性だけではなく、美しさも兼ね備えている製品は、世界的にも高く評価されています。
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Ceramika Artystyczna(ツェラミカ・アルティスティチナ)
“Ceramika Artystyczna”は、ポーランド語で「芸術陶器」を意味します。第二次世界大戦前のドイツの陶工所Julius Paul&Sohn(ユリウス・パ ウル&ゾン)社が前身となっており、1960年代以降Ceramika Artystycznaという社名になりました。Zakłady Ceramiczne”Bolesławiec”と並ぶ、ボレスワヴィエツの二大製造元の一つです。
「伝統とモダン」をキャッチフレーズに、パターンデザインは5000種にのぼります。歪みが少なく発色もクリアで、世界的な評価も高いです。
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Ceramika Artystyczna WIZA(ツェラミカ・アルティスティチナ・ヴィザ)
社名は、日本語にすると「ヴィザ芸術陶芸社」。ザクワディ、ツエラミカ・アルティスティチナ、に次ぎ、3番目に古いボレスワヴィエツ陶器の窯元です。1963年に、Stanisław Wiza(スタニスワフ・ウィザ)氏が家族経営でスタートさせました。
独創的なフォルムをとても大切にしており、他社のものより厚みと丸みが強いのが特徴です。ぷっくりとした温かく愛らしい姿は、世界中に多くのファンを持ちます。かわいい動物の食器や置物も多く、「カモミール」はWIZA社を代表する人気の絵柄です。
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Ceramika Artystyczna VENA(ツェラミカ・アルティスティチナ・ヴェナ)
ポーランド語で、”Ceramika Artystyczna”は「芸術陶器」を、VENAは「インスピレーション、ひらめき」を意味しています。2003年に設立された比較的新しい会社ですが、ヨーロッパやアメリカで高く評価されており、日本でも人気の窯元です。
美しい色使いと繊細で芸術的な装飾を得意としており、300種類以上の絵柄や200種類以上の形を誇ります。また、スタンプだけではなく絵筆も多用されたものが多く、高い芸術性を追求している窯元です。
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食器だけじゃない~いろいろなボレスワヴィエツ陶器~
クリスマス雑貨
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ヨーロッパでは、クリスマスツリーのオーナメントを毎年一つずつ買い足していくのだそうです。ボレスワヴィエツ陶器のオーナメントは、クリスマスツリーを一層華やかにしてくれますし、また、壁にピンで飾ってもオールシーズン楽しめます。また、クリスマスキャンディーボックスは、木の部分が蓋になっていて、中にキャンディーやチョコレートを入れることでき、ちょっとお部屋に置くだけでおしゃれに演習できます。
ペットの食器
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豪華なボレスワヴィエツ陶器のペットボウル。愛犬、愛猫へのクリスマスプレゼントにいかがでしょう?
左の画像の食器は、直径 13cm × 高さ 12cm 容量 300ml と、小型犬、猫でもOKなサイズ。
右の画像の食器は、直径 20cm × 高さ 8cm 容量 800ml と、中大型犬サイズとなっています。側面の穴は、手で持ちやすいよう工夫されたものです。
前述しましたが、ボレスワヴィエツ陶器は厚生労働省の「食品衛生法」に定める検査に合格していますので、食器の内側に模様があっても、安心してペットもご使用いただけます。
かわいい動物雑貨
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イースターラビットは、胸元の穴にお花を飾ることで、ラビットがお花を持っているように見えます。また、歌うことりは飾ってもかわいいですが、笛になっているため、実際に吹いて楽しむことができます。ボレスワヴィエツ陶器の動物たちはどれも華やかでかわいらしく、お部屋を華やかに演出してくれることまちがいなしです。
いろいろな調理器具
りんごポット[V356-A063]【ポーリッシュポタリー[ポーランド食器・陶器]】 |
パンプキン[Z1777-41]【ポーリッシュポタリー[ポーランド食器・陶器]】 |
マフィン型[V335-U198]【ポーリッシュポタリー[ポーランド食器・陶器]】 |
ケーキ型[Z1331-479]【ポーリッシュポタリー[ポーランド食器・陶器]】 |
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リンゴポットは、芯をくりぬいたリンゴをポットに入れ、砂糖と、お好みでシナモン、バターを詰めてオーブンで焼けば、おいしい焼きリンゴのできあがりです。食器がおしゃれなので、そのまま食卓に飾ることができます。
パンプキンはスープボウルですが、お漬物など入れてもおしゃれです。
また、ケーキの焼き型もおしゃれなので、焼いたらそのままテーブルに並べることができます。
クロトのおすすめ
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小物入れ?
と思いきや、これは「hedgehog cress」というもので、スプラウト(マスタード、ブロッコリー、かいわれ等の芽)を栽培するためのトレイです。
水を含ませた脱脂綿などを敷いて、種を植え、芽が出てすくすく育った時に、立派なハリネズミに成長します。
キッチンでスプラウトを栽培しているご家庭は多いと思いますが、このハリネズミ君と一緒に育てると、愛情一杯に楽しく栽培することができるのではないでしょうか。
また、調味料ボトルを置いたり、小物入れとして使ったりと、用途は様々。ハンドメイドなので、ハリネズミ君のお顔にも個性があり、その分、一緒に生活していくうちに愛着が湧いてきます。
愛らしいハリネズミ君は、きっとお部屋を華やかに演出してくれますよ。
さいごに
今回は、ボレスワヴィエツ陶器の魅力をお届けいたしました。
繰り返しになりますが、ボレスワヴィエツ陶器は大変人気の高い陶器であるため、偽物も多く出ています。もちろん偽物は粗悪なものが多く、本来ボレスワヴィエツ陶器は厚生労働省の管理する食品衛生法の検査に合格しているため、食器の内側に模様があっても安全なのですが、偽物の場合、そうとは限りません。
ボレスワヴィエツ陶器をご購入する際は、正規輸入代理店等、信頼のできるお店から購入するようにしてください。
ちなみに、このページの商品画像をクリックすると、商品の販売ページにリンクします。リンク先のお店は、ほとんどが、株式会社ケルセンか、クラフトワークス株式会社「ツェラミカ」となっており(ほとんどケルセンのページです)、二つとも信頼できる正規輸入代理店ですので、安心してご利用ください。
ちなみに私は、ボレスワヴィエツ陶器を購入する際は株式会社ケルセンを利用しています。品揃えが豊富で対応も丁寧、とても信頼できるお店です。
お買い物は、amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングが便利です。